認定NPO法人マドレボニータは、このたび『産後白書2021~コロナ禍におけるパートナーシップ~』発行に向けての調査プロジェクトを始動させました。
産後女性の心身の状態とパートナーシップの実態を明らかにし、これから妊娠・出産を経験する方や、今現在産後のカップルのよりよいパートナーシップの構築に貢献することを目的にしています。
プロジェクトチームのリーダー、井端梓インストラクターに聞きました。
(聞き手:マドレボニータ理事・長野奈美)
▶︎コロナ禍でのパートナーシップのリアル
調査の大きな目的は、コロナ禍でのパートナーシップがどう変化しているかを明らかにすることです。たくさん生活の変化があった中で、妊娠中・産後のカップルのパートナーシップはどう変化したのか、また当事者はパートナーシップをどうしたいと思っているかを聞き取る調査票をつくりました。
調査はまず、産後1年未満のOGさんに聞き取りをするところから始めました。「コロナ禍でパートナーシップのリアル」を肌感覚で知るためです。
この1年、いろんなドラマがあったことを知りました。問題が浮き彫りになったカップルもいますし、もちろん反対に関係性がよくなったカップルもいました。
コロナ禍での生活様式がプラスに作用している点では、「在宅勤務じゃなかったときよりも、家事や育児をやってくれるようになった」とか、「育児の役割分担をしやすくなった」などの声が聞かれました。
反対にマイナスになったのは、「家にいるのにやってくれない」とパートナーの在宅にイライラが募ったり、感染予防に対する意識の差に溝があり険悪になったり、といったようなことです。
▶︎もともとあったものが顕在化したのでは?
この聞き取りを通じて気づいたのは「もともとあった問題や良かったところがコロナ禍で浮き彫りになったのではないか?」ということです。なので、パートナーシップに関する調査結果は、これまでと大きく変化はないのではないか、と予測を立てています。
つまり、「カップル間でお互いが自分の気持ちや考えを表現して、お互いを尊重し合えるような、本質的なコミュニケーションが取れていることが、良好なパートナーシップを築くカギとなっている」という、これまでの独自調査からも明らかになっている部分を再び導き出せるのではないかと期待しています。
そのために、パートナーとの会話の時間や量だけではなく、会話の質を、生活に必要な事務連絡と、本質的なコミュニケーション、とを分けて聞く設問を用意しています。
産後ケア教室やオンライン教室で、パートナーとの関係性を考えるきっかけもあったと思うので、教室が終わっても引き続き考える機会にしてもらえたらうれしいです。
▶︎最新の「産後の家族を取り巻くデータ」
2009年に発表した、最初の「産後白書」の発行から13年。社会状況は大きく変わっています。
育児グッズは便利になり、男性の育休取得率は上昇しています。産後ドゥーラさんや家族以外の第三者の手を借りて産褥期を過ごすという選択をする人も増えていると思います。そのような産後の家族を取り巻く状況はどのように変化しているのか、最新のデータを取ることももうひとつの大きな目的です。13年前とのデータ比較で見えてくるものもあるのではないかと期待しています。
調査結果をどのような形でまとめていくか、まだ議論や検討は続いていますが、新しいカップル向けの講座に生かし、行政や企業向けにもさまざまな形で提案をしていきたいと考えています。半年間で1000人の方にご協力をいただく予定です。
ミーティングの様子 |
どんな結果を明らかにできるのか、またこの13年での、産後の家族を取り巻く状況の変化もどんな形で表れてくるのか、みなさんにも期待を持って見守っていただきたいなと思います。