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産後ケアのNPO法人マドレボニータ オフィシャルブログ

2020年3月18日水曜日

「インストラクターの現場から」〜相棒は『赤鉛筆』から『赤玉』へ(下)〜(長野奈美さん)

こんにちは。マドレ☆タイムズ編集部です。
マドレタイムズに掲載中のリレーエッセイ「産後ケアの現場から」をお届けします。
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こんにちは、名古屋の産後セルフケアインストラクター長野奈美です。
1月号では、三女の産後間もなく養成コースにチャレンジした話を書きました。
相棒は『赤鉛筆』から『赤玉』へ(上)
相棒は『赤鉛筆』から『赤玉』へ(中)

3部作の最後は、「変化してきた夫との関係性について」書こうと思います。
ちゃんと完結するのかどうか、私自身もハラハラしています(笑)。


相棒は『赤鉛筆』から『赤玉』へ(下)

さて、夫とは今年の5月で結婚12周年になります。
前職新聞社の同期入社の私たち。夫は大学院卒の技術職なので、2コ年上になります。
一緒のプロジェクトなどで仕事をした経験はないですが切磋琢磨する間柄で、仕事も対等、家庭でも対等。それが私たち夫婦の暗黙の了解でした。

それが変わってしまったのが10年前の出産。

私が夜勤をやめニュースの一線を退き、子どものケアを主に担うようになったことがきっかけでした。

次女の産後に「私だけなんで2回もキャリア中断をしなきゃいけないの」と、変わらず仕事してキャリアを積み上げている夫への憎しみという形で爆発してしまいました。家事の分担、子どものケアのことでケンカになると「じゃあ私と代わってよ。私だって稼ごうと思ったらあんたと同じように稼げるんだから」という言葉を吐いていた記憶があります。

ただの脅しです。家事や育児を再分担し直したり、外部の手を借りたりしながら一線に復帰するという発想は私にはなく、ただただ未練を夫にぶつけていただけ。


それが変化するきっかけになったのは、マドレボニータのインストラクターを志してからです。

養成コースにエントリーするときも、会社を退職するときも、夫に何度も何時間も話しを聞いてもらいました。
私の中で最後まで踏ん切りがつかなかったのは経済面の不安感。
3人の子どもがいるのに、どれだけ収入があるかわからないフリーランスの道を選んでもいいものなのか。専門家に入ってもらい試算を重ねました。

最後は夫が「君は君の人生を自由に進めばいい。お金の心配はするな」と背中を押してくれました。

実際の金銭面のことよりも、私が固執していたのは「私だって対等に稼いでる」というところが起点の私の夫婦感だったりもしました。
「果たして収入がなくなっても、夫との関係性は対等でいられるのだろうか」
これは今でもときどき「私は稼げてないから」という思いでひょっこり顔を出すことがあります。

でも夫は稼げていようも稼げていまいも気にしていません。「今日のレッスンはどうやった?」と必ず聞いてくれます。「お客さんが満足してくれたならそれでいいやん」「そんなに集まってくれてるんか」「すごいなー僕にはできひん」(夫は関西人)と夫なりの感想を話してくれます。夫には辛い思いも、同期にすら話せない苦しさも葛藤も、話せる安心感が生まれました。

ただのノロケ話ではありません(笑)。

どうして夫婦関係が変化したのかというと、私が鎧を脱げたからなのかなと思います。夫と対等でいるために固執していた「バリキャリ」への未練を断ち切り、新しい仕事で大事にしたい「やりがい」と、今は「3人の子どもたちとの生活に重点を置く」との覚悟を軸に据えられたからだと。

でも、これからもっともっと「仕事!」に傾く時期も来るのかもしれません。いやきっと来るはず。ワーカホリックの私なら、きっと(笑)。
そのとき、夫とどんな関係性を築いていくのか。話し合いながら進んでいきたいと思っています。(完)

『赤鉛筆』と『赤玉』
前職校閲記者の相棒は『赤鉛筆』。辞書と、記事を書く上でのお約束をまとめた「ハンドブック」を片手に、赤鉛筆で誤字脱字や事実関係の誤りを正すのが仕事でした。
そこから今の相棒はみなさんご存知の『赤玉』(赤いバランスボール)です。私の運命の色はきっと「赤」なのだと思っています。

・・・
【長野奈美プロフィール】
1981年1月、名古屋生まれ。小学校から大学までオール名古屋市立で育つ。卒業後、地元新聞社で15年間赤ペンを持ち続け、正しい日本語と名古屋弁が紙面を飾るように尽力した。
2010年に長女を出産後、ニュースの一線で働くことに悩み36歳で一念発起、インストラクターの道へ。女性が妊娠・出産してもやりたいことを貫ける社会を目指して、啓発活動にも力を入れる。家族は夫と長女、次女(13年生まれ)、三女(16年生まれ)。
趣味はランニング(フルマラソン4時間39分)、マドレゆるラン部でも活動中。

▼ブログ「母をたのしく!」でも日々の奮闘ぶりを報告しておりますhttps://ameblo.jp/35care758

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