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産後ケアのNPO法人マドレボニータ オフィシャルブログ

2018年9月16日日曜日

【新しい両親学級プロジェクト】子供が輝く・東京応援事業に採択されました

近年「産後うつ」が母子保健の課題として認識されています。

最近では、出産したあと1年未満の間に自殺した女性は過去2年間に少なくとも92人に上り、出産後1年未満の女性の死因では最も多く、専門家は、多くが産後のうつが関係しているとみて、母親の支援体制を充実させることが必要だと報道されました。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180905/k10011610531000.html

また、2017年にも「新たな自殺総合対策大綱の在り方に 平成29年1月27日 関する検討会(第3回)」で妊産褥婦の自殺 -東京都の集計及び概略分析が報告されており、その原因として産後うつがあげられています。
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12201000-Shakaiengokyokushougaihokenfukushibu-Kikakuka/0000149769.pdf

出産後の女性は、心も体もギリギリの状態におかれています。
しかし、そのような出産後の現実をを知らずに、出産を迎える人がほとんどです。
産後の知識がないため、心身を十分に回復する環境を整えることができず、
産後の三大危機つまり、「産後うつ」「乳児虐待」「夫婦の不和」のリスクに晒されるのです。

東京都でも産後6-8週間の休養をサポートする”産後ケア事業”に着手しています。
しかしながら、産後ケア事業の実施率は5%と低く、産後ケアの必要性が都民に伝わっておらず、サービスが十分に届いていないという現状があります。

産後の三大危機つまり「産後うつ」「乳児虐待」「夫婦の不和」は、適切な準備をすれば予防できるものです。
これらの問題が起きてから相談に応じるのではなく、前もって予防するような施策が必要であると私たちは考えます。

こういった産後特有の問題を予防するには、適切なタイミングで産後の心身を十分に回復させる必要があります。

その為には、一般的な両親学級で教えている「お産の準備」や「赤ちゃんのお世話」の予習だけでは足りません。

本当に必要なのは、新たに子供を迎える夫婦が揃って、「出産後の心と体」「夫婦の関係性の変化」について知り、協力しあって「出産後の準備」に取り組むことです。

そこで、私たちマドレボニータは
▶︎赤ちゃんを迎える夫婦に、
▶︎子育てのスタートの準備を促す
▶︎「新しい両親学級」
を実施すべく、
東京都福祉保健財団による子供が輝く・東京応援事業に応募、採択されました。
http://www.fukushizaidan.jp/313kosodate/josei_h30.html

新しい両親学級という参加型の講座の提供と同時に、より広範囲への産後啓発ツール配布も実施していきます。
啓発アプリやリーフレットを両親学級の参加者に配布するだけでなく、講座に参加できない夫婦にも、こういった啓発ツールを広く配布することは、より多くの夫婦に産後の準備を促す助けとなるはずです。
本講座での追跡調査のエビデンスを元に、このような「産後を見据えた」「夫婦参加型」の両親学級を都内各所に普及させて行きたいです。

その担い手となるのは、母子保健の専門職である、助産師や保健師の方々です。専門職のみなさんに研修を行い、都内のそれぞれの自治体で、同様な講座が実施できるような体制をつくっていきたいと思います。

この一連の普及活動が実現できるよう、各自治体にも、積極的に事業実施に向けた働きかけをしていく計画です。

この取り組みで、子育てを健康的にスタートする夫婦が増え、都民が安心して妊娠、出産、子育て、就労継続ができるようになり、結果的に少子化に歯止めをかける効果が期待できると信じております。
(新しい両親学級プロジェクトリーダー 林 理恵)