マドレタイムズに掲載中のリレーエッセイ「インストラクターの現場から」をお届けします。
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こんにちは、名古屋の産後セルフケアインストラクター長野奈美(なみちゃん)です。
自粛生活明けで、少しずつご自身の生活も、ご家族の生活も「日常」に戻りつつあると思います。
名古屋では全国に先駆けて産後ケア教室が再開しています。
感染予防・拡大防止策を考え、定員を減らしたり、換気・消毒などを実施しながら、今月は植田教室で2クラスを開催しています。久しぶりに家族以外の大人と話せた喜びを、全身で表現してくださる方が多いです。とにかく動きたい、話したい、の熱量がすごいです。
私も2ヶ月ぶりの教室に、血湧き肉躍る心地で、今月は産後ケア教室再開の現場からのリポートにしようと思っていたのですが…
最近の長女の言動から、本当は大事にしなきゃいけないことに気づいたので、急遽テーマを変えて今号は書いてみようと思います。
★産後ケア教室再開の話題は、長野奈美ブログ「母をたのしく!」からどうぞ
4月初旬から産後ケア教室を休講して、オンライン版の「産後ケア教室」を試行錯誤しながらやってみたり、オンライン版公式プログラムの開発にインストラクター・事務局スタッフと取り組んできたり、私も完全に在宅ワークの2ヶ月を過ごしてきました。
それ以外にも、名古屋市の地域子育て支援拠点のスタッフをしているので、そちらのオンラインサロンの立ち上げや、レッスンを受託しているヨガスタジオのオンラインレッスンも担当したりと、オンライン漬けの日々でした。朝から夕方まで自室にこもる生活を送っていました。
三女の保育園はほぼ変わらず保育してくれていたし、小学生2人は自分たちで楽しみを見つけて過ごしてくれていたので、仕事に没頭することができました。
「コロナ禍でも全然快適じゃん!」と思うぐらい、どっぷりハマっておりました。
でもハマればハマるほど、些細なこと、例えば長女の自堕落さや、次女の甘えん坊なところにイライラが募っていきました。
長女はテレビ大好きっ子なので、「ちょっと」の気持ちでDVDをつけて、結局2時間見ちゃった!とか。次女は1時間おきに母にくっつきたいぐらい甘えん坊なので、オンラインレッスンが終わるのを待てなくて、部屋をのぞいたり忍び込んだりしてきたり。
「わー予定時間までに終わらない」とか「もっと集中して取り組みたい」の気持ちが、子どもたちの行動にイライラとして向かってしまうことが多くなっていました。ついつい「お母さんは一秒もムダにしたくないんだけど」という言葉をかけたこともありました。
そうして5月は終わっていき、6月からは小学生も学校に戻り、私の仕事にもほぼ日常が戻ってきています。
そんな中、長女が友人に対して「私は○○ちゃんのために一秒もムダにしたくないんだけど」という言葉をかけていたことが発覚しました。お友達の方面の電車を一緒に待たずに、先に一人で帰ってきてしまったのだどか。
打ちのめされた気分でした。
私の時間は、私のために使いたい。
一秒だってムダな時間はない。
在宅期間中にいかに私が、子どもたちにそんな態度を取り続けてきたかを思い知りました。
そしてこういう形で跳ね返ってくるとは。
ムダな時間として無意識のうちに排除していた時間は、子どもたちとまったり過ごす時間もそうですし、夫と話す時間、自分の体をケアするための時間も(睡眠時間やランニングする時間も!)だなあと思い当たります。
猛烈に仕事ができて幸せな時間でした。
それは間違いなく私の喜びでした。
そして、マドレやそれ以外の協働していただいている団体・仲間にも貢献できたという自負はあります。
でも家族に対しては、どうであったのだろうか、と、この期間を終えた今になって、初めて考えているのです。
子どもと一緒に「ムダな時間」を過ごしてみる。
長女と「しょうがいないねえ」と言って一緒にDVDを見る。
次女のハグの要求に何度も応えてみる。
夫の一緒に飲みたそうなオーラに素直に応える。
そんな余白はまったくなかったな、みんなに寂しい思いをさせたな、と気づきました。
そして、この2ヶ月、本も1冊も読んでいない! 映画も見ていない! 1ヶ月ほど1キロも走っていない!
どれもこれも、私にとって大事なもののはずだったのに、「仕事してるぜっ!」の高揚感のもとにないがしろにしてしまった自分自身のセルフケア。「ムダだと思う時間の使い方も、実はムダじゃないんだ」という当たり前のことを、思い出す余裕すらなくしてしまった日々を過ごしてしまっていたのです。
長女には、自分の時間をお友達に差し出すことは、自分自身が楽しい時間を共有することでもある、とその価値をわかる人に育ってほしいと思います。
私自身もそれを忘れることなく(ときどき忘れてしまうことがあっても)日々を過ごしていこうと、今ここに言葉にしておきます。
【長野奈美プロフィール】
1981年1月、名古屋生まれ。小学校から大学までオール名古屋市立で育つ。卒業後、地元新聞社で15年間赤ペンを持ち続け、正しい日本語と名古屋弁が紙面を飾るように尽力した。
2010年に長女を出産後、ニュースの一線で働くことに悩み36歳で一念発起、インストラクターの道へ。女性が妊娠・出産してもやりたいことを貫ける社会を目指して、啓発活動にも力を入れる。家族は夫と長女、次女(13年生まれ)、三女(16年生まれ)。
趣味はランニング(フルマラソン4時間39分)、マドレゆるラン部でも活動中。
★ブログ「母をたのしく!」でも日々の奮闘ぶりを報告しております★